愛媛で、新築と中古リノベの費用を比べる

家を手に入れる総額を抑え、その先の暮らしに予算を残す。愛媛の住宅費、伊予市の土地、実際の中古取引、住宅ローンを照らし合わせると、中古リノベを検討する経済的な理由が見えてきます。

愛媛県のフラット35利用者では、土地付き注文住宅の平均建設費が2015年度の2,388.9万円から2025年度の3,523.0万円へ、47.5%上昇しました。一方、中古戸建ては築年数と立地で価格が大きく変わります。「中古だから得」と決めるのではなく、購入・必要な工事・諸費用を一緒に比較することが、暮らしの予算を守る出発点です。[1][2]

1. 建築費は上昇し、住宅は小さくなっている

家づくりの入口が「土地から買って注文住宅を建てる」場合、土地と建物を分けて見ると、どこで予算が膨らんだかが分かります。以下は同じ統計・同じ融資区分・同じ愛媛県を比較したものです。金額は平均値です。

愛媛県・土地付注文住宅の2015年度と2025年度
項目2015年度2025年度増減率
平均建設費(万円)2,388.93,523.0+47.5%
平均土地取得費(万円)971.51,038.2+6.9%
建設費+土地取得費(万円)3,360.44,561.2+35.7%
平均床面積(㎡)110.4103.8-6.0%
平均敷地面積(㎡)199.1228.6+14.8%
対象件数155127

出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2015年度・2025年度、土地付注文住宅、第1表・愛媛県。2015年度は訂正後の集計表。対象件数は155件と127件。県内の全住宅・全金融機関の平均ではありません。[1][2][3]

平均建設費は約1,134万円増え、土地取得費を合わせた総額は約3,360万円から約4,561万円へ増えています。平均床面積は110.4㎡から103.8㎡へ約6.0%縮小しました。単に「大きな家を建てる人が増えたから高くなった」という説明では足りません。

平均建設費を平均床面積で割った参考単価は、21.6万円/㎡から33.9万円/㎡へ約56.9%上昇しています。ただし、これは各住宅の㎡単価を平均した数字ではありません。断熱・耐震性能、設備、構造、依頼先、回答者構成の違いも含むため、同じ仕様の価格上昇率とは区別します。

別の買い方も比較する

愛媛県・別の住宅区分の平均費用(万円)
住宅区分2015年度2025年度増減率件数 2015 / 2025
注文住宅(建設費)2,871.53,696.1+28.7%101 / 42
建売住宅(購入価額)2,989.03,630.2+21.5%29 / 38
中古戸建(購入価額)1,935.92,186.4+12.9%27 / 46

注文住宅は土地費の借入れを伴わない住宅を主とする区分で、ここで示す金額は建設費。建売住宅・中古戸建は土地と建物の購入価額。区分ごとに床面積・立地・性能・取得条件が異なります。中古戸建の購入価額を、一棟リノベ後の完成総額として扱うことはできません。[1][2]

注文住宅だけを新築の代表にすると、建売住宅などの選択肢を見落とします。予算重視の相談では、注文住宅、建売住宅、中古購入+改修の三つを、希望エリアと必要な広さをそろえて比較する必要があります。

2. 約10年前に2,500万円だった建物は、今いくらか

「同じような建物を今から建てる費用」と「10年住んだ建物を今売る価格」は別の数字です。ここではまず、2,500万円を建物だけの価格として、今建てる場合の参考換算を示します。

建物2,500万円の参考換算。見積額・売却査定額ではありません
換算方法比較する指数・平均値換算結果
全国の木造住宅の工事費指数2015年度93.5 → 2025年度122.33,270万円
最新月の工事費指数まで更新2015年度93.5 → 2026年6月126.73,388万円
愛媛・土地付注文住宅の平均建設費の伸び2015年度2,388.9万円 → 2025年度3,523.0万円3,687万円

指数は国土交通省「建設工事費デフレーター」、2020年度=100、木造住宅W。年度表は2026年6月30日公表、最新月は2026年8月31日公表の6月値。2023年度以降のウエイトは暫定。算式は2,500万円×比較年値÷2015年度値。[4][5]

この三つは、同じ家の見積額の上限・下限を示すものではありません。工事費指数は全国の投入費用の指標で、営業余剰や消費税などの間接税、用地費を含みません。税込みの住宅販売価格全体を正確に換算する指標ではなく、工事費の上昇感をつかむための参考です。一方、愛媛の平均建設費には実際に建てた住宅の仕様や規模の変化も含まれます。[6]

したがって、ホームページで使いやすい表現は「約10年前と同じ予算では、同じ家づくりが難しくなっている」です。「昔2,500万円の家が、今なら必ず3,700万円」と断定する表現にはしません。

2,500万円が土地・建物の総額だった場合

建物と土地は別々に計算します。例えば、当時の建物1,500万円・土地1,000万円という仮定で、建物には愛媛の平均建設費の伸び率、土地には次章の米湊の公示価格の変化率を当てると、約3,117万円です。これは説明用に異なる統計を組み合わせた計算で、愛媛のどの住宅にも当てはまる現在価格ではありません。

1,500×(3,523.0÷2,388.8645…)+1,000×(59,300÷65,500)≒3,117万円

当時の請負契約書・土地の購入額・延床面積・現在希望する仕様が分かれば、現在の工事見積もりと比較できます。売却価値を知りたい場合は、この工事費換算ではなく、近隣成約事例と建物の状態を基に別途評価します。

3. 伊予市の土地は、同じ地点でどのくらい変わったか

国土交通省の2026年地価公示データには、過去の公示価格も収録されています。伊予市の住宅地4地点について、2016年1月1日と2026年1月1日を比較しました。両時点はそれぞれ2015年度・2025年度内に当たります。

伊予市の住宅地4地点・10年間の公示価格比較
標準地・地区2016年 円/㎡2026年 円/㎡増減率50坪換算 2016 → 2026(万円)
伊予-1 米湊字安広748番265,50059,300-9.5%1,082.6 → 980.2
伊予-2 下吾川字北西原2025番2659,10052,000-12.0%976.9 → 859.5
伊予-3 下吾川字北野483番1458,00055,600-4.1%958.7 → 919.0
伊予-4 下三谷字中小路1431番436,20030,000-17.1%598.3 → 495.9

出典:国土数値情報「地価公示」2026年・愛媛県。伊予-1〜伊予-4の住宅地全4地点。50坪は165.289㎡として各地点の㎡単価を機械的に掛けた参考額で、実際の標準地の面積・売出価格ではありません。公示価格は更地としての土地の評価で、建物の価値を含みません。伊予-2は途中年に利用現況・建物構造の属性変更があるため、完全に同一条件の物件比較ではありません。[7][8]

米湊の地点では50坪換算で約1,083万円から約980万円へ、約100万円下がっています。下三谷では約598万円から約496万円です。住宅地4地点の10年間の変化率は約−4%〜−17%で、場所によって差があります。

土地付注文住宅の「平均土地取得費」が971.5万円から1,038.2万円へ増えたこととは矛盾しません。同調査では平均敷地面積も199.1㎡から228.6㎡へ大きくなり、購入エリアや宅地条件も一定ではないからです。土地を買った総額と、同じ地点の㎡当たり価格は分けて考えます。

「愛媛だから、土地は全部下がる」とは言えない

2026年地価公示・住宅地の対前年比
地域変化率読み取れること
愛媛県全体−0.4%県平均では下落が続く
伊予市−0.2%下落幅は小さくなっている
松山市+0.2%住宅地平均は上昇
松前町+0.6%住宅地平均は上昇
砥部町0.0%横ばい

出典:愛媛県「令和8年地価公示概要」3〜6ページ。各地域の継続地点の平均変動率であり、全宅地の価格変化率ではありません。[9]

伝えたいのは「高い建築費を払うことが、そのまま将来の売却価格を保証するわけではない」ということです。立地や維持管理が資産性に関わる点は、新築にも中古にも共通しています。

4. 築10年前後の中古住宅は、実際にいくらで取引されているか

国土交通省「不動産情報ライブラリ」から、2024〜2025年の愛媛県の土地・建物取引2,076件を取得し、木造・住宅専用・土地100〜300㎡・延床80〜160㎡などの条件で647件に絞りました。ここから築年帯ごとの購入価格を集計しています。すべて土地と建物の合計額です。

愛媛県・2024〜2025年の取引価格。抽出条件は本文・調査方法参照
概算の築年帯件数中央値(万円)中央50%(万円)平均土地 / 建物(㎡)
0〜1年1573,0002,600.0〜3,400.0145.3 / 99.0
8〜12年262,3002,125.0〜2,500.0166.0 / 103.7
20〜29年841,350792.5〜1,700.0170.2 / 116.2
30〜39年1061,000557.5〜1,400.0165.7 / 109.9

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報を加工。取引時期2024年第1四半期〜2025年第4四半期。中央50%は25〜75パーセンタイル。築年数は取引年−建築年で算出した概数です。「築0〜1年」は法令上の新築区分を意味しません。各行は異なる家の集団で、同じ家が年を取ったときの値下がり率を示していません。[10][11]

築8〜12年の26件では中央値が2,300万円、中央50%は約2,125〜2,500万円でした。ただし、この数字から「10年前に建物だけ2,500万円だった家が、今は土地込み2,300万円になる」とは計算できません。もともとの建築費・土地代・改修履歴が確認できず、物件が同一ではないためです。

伊予市で確認できた築10年前後の取引例

伊予市・抽出条件内の築8〜12年の2件
地区取引時期建築年 / 概算築年数土地 / 建物(㎡)土地+建物(万円)
上吾川2024年第4四半期2016年 / 築8年200 / 802,500
下吾川2025年第2四半期2017年 / 築8年140 / 1152,300

上記条件内の伊予市・築8〜12年は2件のみで、いずれも概算築8年です。伊予市全体の相場や築10年ちょうどの価格、特定の家の査定額として一般化はできません。価格等は国が特定の売買物件を容易に特定できないよう加工して公開したデータです。[10]

一棟リノベは、購入価格と必要工事の組み合わせで判断する

県内の上記抽出では、築0〜1年の中央値3,000万円と築8〜12年の2,300万円の差は700万円です。ここに大規模な改修を追加すれば、総額が逆転する可能性があります。築浅を買って一棟すべて改修する方法が、常に得とは言えません。

築20〜29年の中央値は1,350万円、築30〜39年は1,000万円でした。取得費に余地がある分、必要な耐震・断熱・防水・設備更新と希望の内装を計画しやすくなります。ただし、傷みが大きい家は工事費が膨らみます。「築年数が古い」より「使える部分と必要工事が分かる」ことが重要です。

別の成約統計である西日本レインズでも、2026年4〜6月期の愛媛県の中古戸建は平均成約価格1,552万円、平均築32.2年、土地196.7㎡、建物113.0㎡でした。このレポートは2四半期後方移動平均で、フラット35や上記の抽出と対象・時期が異なります。築10年住宅の評価には転用しません。[12]

「建てた瞬間に価値が下がる」の扱い

国土交通省は、建物の状態にかかわらず築20〜25年で一律に価値をゼロとする従来の評価慣行を、改善すべき課題として挙げています。性能や維持管理、リフォームによる価値を適切に評価する方向です。これは「木造住宅は22年で使えなくなる」という意味ではなく、入居直後に愛媛の家が一律何%下がるという証拠でもありません。[13]

新築の取得費と、将来の中古市場で評価される価格が一致するとは限りません。ただし、新築・中古の双方で、購入費と売却価格の差、住める期間、性能、維持費まで考える必要があります。高いリノベ工事費も、その全額が将来の売却価格に上乗せされるとは限りません。

5. 金利が上がると、借入額を抑える効果が大きくなる

フラット35の21〜35年・融資率9割以下では、SBIアルヒの公表金利が2015年9月に年1.54%、2016年9月に年1.02%でした。2026年9月の新機構団信付き最頻金利は年3.46%です。2016年は2015年より低く、10年間ずっと一方向に上がってきたわけではありません。[14][15]

また、2017年10月から団信の費用が毎月返済に含まれる仕組みに変わりました。旧制度の金利と新機構団信付き金利をそのまま比較すると、保険条件の違いも混ざります。以下は純粋な元利返済の比較のため、2026年を団信なしの年3.26%にそろえています。団信に加入しないことを勧める比較ではありません。[16][17]

借入3,000万円・35年。各年とも団信の費用を含めない比較
金利の時点年利毎月返済35年間の元利返済
2015年9月1.54%92,444円3,883万円
2016年9月1.02%84,966円3,569万円
2026年9月・団信なし3.26%119,852円5,034万円

借入3,000万円、35年・420回、元利均等・毎月返済、ボーナス返済なし、金利一定。諸費用・団信特約料・控除・繰上返済は含めません。月額は円単位四捨五入、総額は丸め前の月額×420回。金融機関の端数処理で差が生じます。

同じ3,000万円でも、この条件では2015年と2026年の月返済額に約2.7万円の差が生まれます。既に借りている全期間固定金利の契約が、この金利に自動で変わるという意味ではありません。変動金利の将来水準も、この比較からは予測できません。

借入額を1,000万円抑えたときの返済差

借入額の差1,000万円・35年・金利一定の場合
年利・比較条件毎月の返済差35年間の元利返済差うち利息の差
1.54%・2015年9月・団信別30,815円1,294万円294万円
2.00%・試算用の仮定33,126円1,391万円391万円
3.46%・2026年9月・新機構団信付き最頻値41,098円1,726万円726万円

年2.0%という比較用の仮定では、1,000万円少なく借りると毎月約3.3万円、35年間の元利返済は約1,391万円少なくなります。この約1,391万円には元金1,000万円を含み、利息の差は約391万円です。元金の削減額と総返済差を足して、二重に「お得」と数えないようにします。

暮らしに残るお金を、条件を変えて確かめる

二つの選択肢で、借入額にいくら差が出るか。金利と期間を同じにして、毎月と全期間の返済差を計算します。

借入額の差1,000万円・年2.00%・35年の場合

毎月の返済差
33,126円
全期間の元利返済差
1,391万円
そのうち利息の差
391万円

初期値の年2.0%は試算用の仮定で、利用できる商品金利の提示ではありません。元利均等・ボーナス返済なし・金利一定。諸費用、税控除、繰上返済、別途の保険料等は含みません。融資の可否・期間を保証するものではありません。

6. 中古住宅購入+リノベにも、住宅ローンを使える

中古住宅の購入とリノベーションをまとめて対象にする住宅ローンがあります。愛媛の金融機関でも確認できます。資金計画では、物件の購入契約を決める前から工事費を含む借入れを相談します。

確認できた主な選択肢
選択肢確認できた内容計画時に確認する点
伊予銀行
まるごと住宅ローンワイド「リフォームプラン」
中古住宅購入+リフォーム、大規模リフォーム、他行ローン借換え+リフォームに対応。対象工事でリフォームかし保険を利用する場合、税抜工事請負金額の80%を担保評価額に加算する仕組み。建物の評価、希望額・期間、かし保険の要件、工事契約書。支払時期が分かれる場合の分割貸出。
住宅金融支援機構
フラット35リノベ
中古購入と一定のリフォームを組み合わせ、技術基準と維持保全等の要件を満たす場合に利用。条件に応じ、当初5年間の金利引下げ制度あり。リフォーム一体タイプの取扱金融機関、適合する住宅・工事、物件検査、購入時と工事代金支払時の資金。金利引下げの適用条件と受付状況。
現在所有する家を直す場合伊予銀行の同プランでは大規模リフォームも対象。工事だけのリフォームローンを利用する方法もある。購入を伴わない工事にフラット35リノベの購入用制度をそのまま当てない。既存の抵当権、残債、所有者、借換条件。

出典:伊予銀行、フラット35公式商品案内・条件。担保評価に加算する80%は、融資額の保証でも、売却価格が工事費の80%上がる保証でもありません。融資可否・借入額・期間・金利は物件と申込者の審査等によります。[18][19][20]

家具や家電まで全額住宅ローンに含められるとは限りません。伊予銀行の別商品「まるごとリフォームローン」にはリフォームに伴うインテリア用品購入の資金使途がありますが、住宅ローンワイドやフラット35と同一条件ではありません。家具・照明の費用は独立した予算項目にして、対象範囲を金融機関へ確認します。[21]

借入期間を長くすれば毎月返済は下がりますが、利息や将来の修繕期間も長くなります。ローンが使えることと、無理なく暮らせることを分け、家計に残すお金から返済額を考えます。

7. お得かどうかは、必要な工事まで入れた総額で決まる

以下は、価格差と工事費の関係を確かめるための仮定による予算例です。販売物件、コトデザインの見積もり、同じ立地・広さ・性能の比較ではありません。市場データを参考に置いた取得費と、説明用に仮定した費用を明確に分けています。

取得費の参考値と、工事・暮らしの費用を組み合わせた仮定の予算(万円)
費用項目土地付注文住宅を参考築0〜1年の住宅を参考築20〜29年中古+改修
取得費(土地+建物)4,561.23,000.01,350.0
追加する改修費0.00.01,500.0
諸費用(仮定)250.0200.0250.0
予備費(仮定)100.050.0150.0
家具・照明(仮定)150.0150.0150.0
合計5,061.23,400.03,400.0

取得費の参考:注文住宅4,561.2万円はフラット35・愛媛県2025年度の土地付注文住宅の平均。築0〜1年3,000万円、築20〜29年1,350万円は第4章の抽出中央値。工事1,500万円、諸費用、予備費、家具・照明費はすべて試算上の仮定。取得費に含まれる付帯費・外構等は実際の契約で確認し、諸費用との二重計上を調整する必要があります。利息・税控除・補助金・入居後の維持費はこの表には含めていません。[2][10]

この予算例では、中古リノベは土地付き注文住宅より約1,661万円低くなります。しかし、築0〜1年の住宅の例とは同額です。「新築を選ぶ理由はない」という一律の結論は、実際の数字からは支えられません。必要な広さ・性能・立地・間取りの自由度をそろえた見積もり比較が必要です。

改修費が変わると、結果も変わる

中古取得1,350万円+諸費用250万円+予備費150万円+家具照明150万円の場合
改修費の仮定総予算3,400万円の比較例との差
1,000万円2,900万円500万円低い
1,500万円3,400万円同額
2,000万円3,900万円500万円高い

この条件では改修費1,500万円が3,400万円の比較例と同額になる境目です。物件の取得費を抑えても、構造・基礎・雨漏り・シロアリ・配管などの対応や希望仕様が大きければ、余白は小さくなります。予備費150万円も十分だと保証する数字ではありません。

インスペクションで建物の状態を把握し、必要な補修と性能向上、希望の内装を分けて工事範囲を決めることで、予算判断が具体的になります。建物状況調査だけですべての隠れた不具合を発見できるわけではありません。調査の範囲と未確認部分も見積もりと一緒に整理します。[22]

家具に回せるのは、総額を確認したあとの余白

取得費の差を全額家具に使えると考えるのではなく、まず必要工事・諸費用・修繕への備えを確保します。そのうえで、テーブル、照明、コーヒーの道具に配分する。毎日の楽しみを初めから予算に入れることが、コトデザインらしい家づくりにつながります。

8. コトデザインが提案する、暮らしに予算を残す家づくり

家に、予算を使い切らない。
中古の家を活かして、好きな暮らしまでデザインする。

愛媛でも、約10年前に比べて家を建てる費用は大きく上がっています。中古の家の活かせる部分を見極め、必要な性能と好きな間取りを整える。住まいの総額を考えることは、お気に入りの家具や灯り、家族の時間のために予算を残すことにもつながります。

コトデザインでは、「どの家なら活かせるか」「何を直す必要があるか」「家具・照明まで含めていくらか」を、ひとつの計画として考えます。住宅の状態を確かめることと、インテリアを楽しむことの両方が、ブランドの提案の中心です。

新築・中古リノベのどちらにも適した場面があります。大きな構造変更が必要な家、必要な性能を確保する改修が高額になる家などは、建替えや別の物件も比較します。好きな暮らしを実現できる選択肢を、総額で判断することを大切にします。

暮らしを含めた予算を整理する 中古購入・一棟リノベを相談する

9. 調査方法と、数字を使う際の限界

確認日は2026年9月13日です。年度で比較できる住宅取得費は2015年度と2025年度を採用しました。木造住宅の工事費指数は2025年度値に加えて、公表済み最新の2026年6月を掲載しています。金利は2026年9月、地価は2026年1月1日です。同じ「今」でも統計ごとの観測時期が異なります。

不動産取引価格は、年間の取引の偏りと標本数に配慮して、完了した暦年である2024年・2025年の2年間を採用しました。2026年分を含む最新成約動向は、西日本レインズの四半期資料で別に確認しました。期間と集計方法が違う数字を一つの連続した価格指数にはしていません。

取引データの抽出条件

不動産情報ライブラリの「不動産取引価格情報」のみを使用し、「成約価格情報」と混在させていません。対象は愛媛県の宅地(土地と建物)2,076件。用途が住宅のみ、構造が木造のみ、土地100〜300㎡、延床80〜160㎡、建築年が判明、取引の事情等が空欄の物件を抽出しました。年差が負になるものを除外した結果、647件です。

除外は順次判定し、木造・住宅専用以外818件、建築年不明165件、面積不明等16件、比較面積範囲外382件、取引の事情等の記載37件、建築年が取引年より後11件でした。647件のうち、第4章では選択した四つの築年帯のみを表示しています。

中央値は中央の価格、中央50%は線形補間による25・75パーセンタイルです。極端な価格も恣意的に削除せず、中央値を中心に読みました。平均面積は各築年帯内の単純平均です。築0〜1年の157件のうち122件は松山市であり、県内での地域構成にも偏りがあります。

この抽出は、同一物件の継続売買や、立地・性能・改修状況を統計的に調整した価格指数ではありません。「築0〜1年3,000万円と築8〜12年2,300万円の差」を、建物の10年間の減価率や、新築プレミアムの割合を示す数字ではありません。

計算の再現

増減率は比較年値÷基準年値−1。土地の50坪換算は㎡単価×(400/121×50)÷10,000。元利均等の毎月返済は、借入額P・月利r・返済回数nとして、P×r÷{1−(1+r)−n}、金利0%の場合はP÷nです。表の丸め前の数値と算式、対象条件、出典を集計データ(JSON)に収録しています。

将来の売却価格、融資承認、将来金利、確実な節約額は予測していません。実際の案件では、売買・工事契約の内訳、住宅性能、家計、融資条件をそろえて判断します。

出典

  1. 住宅金融支援機構「2015年度フラット35利用者調査」集計表

    訂正後の地域別都道府県別主要指標・愛媛県。土地付注文住宅は400347366.xls、注文住宅400347365.xls、建売400347367.xls、中古戸建400347369.xls。

  2. 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」集計表

    2026年7月24日公表。各住宅区分の第1表・愛媛県。土地付注文住宅は8510_ext_99_3.xlsx。

  3. 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」調査概要・訂正案内

    利用者を対象とする調査。過去集計表の訂正を確認。

  4. 国土交通省「建設工事費デフレーター」年度表

    2026年6月30日公表、2020年度基準。木造住宅W列、2015年度93.5、2025年度122.3。

  5. 国土交通省「建設工事費デフレーター」月次表

    2026年8月31日公表。2026年6月・木造住宅W=126.7。

  6. 国土交通省「建設工事費デフレーター」利用上の注意

    指数の対象費用、暫定ウエイト、販売価格との違い。

  7. 国土交通省・国土数値情報「2026年地価公示・愛媛県」データ

    GeoJSONの伊予市38210・住宅地000・標準地001〜004。2016年価格L01_095、2026年価格L01_105。

  8. 国土交通省・国土数値情報「地価公示」2026年版メタデータ

    価格年次・属性の定義。伊予-2では途中年の利用現況・建物構造変更を確認。

  9. 愛媛県「令和8年地価公示概要」

    住宅地の県・市町別平均変動率、3〜6ページ。

  10. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報

    愛媛県、宅地(土地と建物)、2024年第1四半期〜2025年第4四半期をCSV取得。2,076件から条件に合う647件を抽出・加工。

  11. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格情報の検索マニュアル

    不動産取引価格情報と成約価格情報の区別、公開データの項目。

  12. 西日本不動産流通機構「四国地区市況動向 2026年4〜6月期」

    愛媛県・中古戸建成約、15ページ。冒頭の集計方法:2四半期後方移動平均、土地50㎡以上500㎡未満。

  13. 国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」

    2014年3月31日。築年数のみで一律に価値を減じる評価慣行の改善。

  14. SBIアルヒ「住宅ローン金利の推移」

    フラット35・融資率9割以下・21〜35年、2015年9月1.54%、2016年9月1.02%。旧制度の団信費用は別。

  15. 住宅金融支援機構「フラット35 金利情報」

    2026年9月資金受取分。融資率9割以下、21〜35年、新機構団信付きの最頻金利3.460%。金利引下げ制度適用前。

  16. フラット35「団体信用生命保険制度のご案内」

    2017年10月1日以後申込分の制度変更。新制度は団信費用を毎月返済に含む。

  17. 住宅金融支援機構FAQ「団信に加入しない場合の借入金利」

    新機構団信付き金利から年0.2%引下げ。2026年9月比較用金利は3.26%。

  18. 伊予銀行「まるごと住宅ローンワイド・リフォームプラン」

    中古住宅購入+リフォーム、大規模リフォーム、他行借換え+リフォーム。担保評価加算と分割貸出の案内。

  19. フラット35「リノベ」商品案内

    中古住宅購入とリフォームに関する融資・金利引下げ制度。

  20. フラット35リノベ「リフォーム一体タイプ」利用条件

    住宅・工事の技術基準、資金使途、取扱金融機関等。

  21. 伊予銀行「まるごとリフォームローン」商品概要説明書

    2025年10月1日付。リフォームに伴うインテリア用品等の対象範囲。住宅ローンワイドとは別商品。

  22. 国土交通省「既存住宅の購入・売却を検討している皆様へ」

    既存住宅の建物状況調査等。

コトデザインのホームへ住まいの読みもの